基準タイムを算出するには、まず、各競馬場ごとの距離別の平均タイムを調べる必要があります。同じ距離でも、競馬場ごとに微妙にタイムが違ってくるからです。
2016年と2017年の2年間の南関競馬全レースの連対馬の走破タイム平均
表は2016年と2017年の2年間の全レース、各競馬場の距離別の連対馬の走破タイムの平均です。
過去3年とか5年とか、母数が多いほど正確な平均値が出ると思われがちですが、コース改修などで、タイムが変動することを考えると、なるべく直近の成績から求めた方が良いと思います。
1600メートルを見ると、浦和では103.7秒、船橋は104.4秒、大井は104.1秒、川崎は104.8秒が平均タイムです。馬場状態やクラスなどを考慮せずに、全てのレースの連対馬の平均タイムとなっています。この平均タイムを基に馬場状態やクラス、競走種別などで補正して基準タイムを算出していきます。
距離係数とは
その前に、距離係数というものを考える必要があります。
「基準タイム-実際の走破タイム」という数値が大きいほど好走したと判断できるのですが、同じ1秒でも距離によってその1秒の価値が違ってくるのです。
例えば「基準タイム-実際の走破タイム」が1秒だった場合でも、2000Mのレースで1秒だった場合と、1200Mのレースで1秒だった場合では、その1秒の重みに差が出るのです。
オリンピックでマラソンの1秒と100Mの1秒の差を考えると一目瞭然ですよね。
そこで、距離による1秒の差をどのように数値化するかです。
南関競馬では、1400Mを基準としてみます。
2000Mのコースで、ある馬の走破タイムと平均タイムの差が1秒とすると、1400/2000=0.7 という数値になります。1000Mなら1400/1000=1.4 となります。つまり、2000Mの1秒差というのは0.7秒という価値、1000Mなら1.4秒という価値になります。
この「1400M÷実際の距離」が距離係数となります。
基準タイムを算出するための係数
とりあえず、難しいことは後々説明することにして、基準タイムを算出するための係数を算出してみました。
計算方法は簡単です。基準タイムを算出するレースの馬場状態が「良」なら0.1550、レース種別が「一般」 なら-0.2558と、各カテゴリーに当てはまる条件のスコアを全て足していくだけです。
例えば2018年5月11日 第3回 大井競馬 5日目
10レース ホトトギス賞 C1 選抜牝馬 距離:1600メートル
馬場状態 | 不良 | -0.1273 |
レース種別 | 一般 | -0.2558 |
競走種別 | 普通競走 | -0.0889 |
クラス | C1 | 0.8526 |
レース条件に当てはまったスコアを全て足します。
(-0.1273)+(-0.2558)+(-0.0889)+(0.8526)=0.3806
この0.3806に距離係数を掛けたものを、平均タイムから引いたものが基準タイムとなります。
大井競馬の1600メートルの平均タイムが104.1秒ですから
104.1-(0.3806×(1400/1600))=104.1-(0.3806×0.875)=104.1-0.333=103.377
四捨五入して、103.4秒が、このレースの基準タイムとなります。
同様にして、2018年5月4日 第2回船橋競馬5日目
11レース ラジオNIKKEI盃 B2(一) 距離1600メートル
馬場状態 | 稍重 | -0.0494 |
レース種別 | 一般 | -0.2558 |
競走種別 | 特別競走 | 0.1797 |
クラス | B2 | 1.3518 |
(-0.0494)+(-0.2558)+(0.1797)+(1.3518)=1.2263
船橋競馬場の1600メートルの平均タイムは104.4秒
104.4-(1.2263×(1400/1600))=104.4-1.073=103.333
小数点第2位以下を四捨五入すると103.3秒がこのレースの基準タイムとなります。
基準タイムの計算式
平均タイム-(スコア合計×距離係数)